成功する中小企業のモノづくり
少し前ですが、日本弁理士会様などの主催によるフォーラムが開催され、その中で「中小企業におけるモノづくり その成功例と失敗例」というテーマで基調講演させて頂きました。
福井はモノづくりに関する優れたシーズを持っています。 漆器、繊維、メガネなど、その技術、ノウハウ、アイデア、人材、設備など時間をかけて培われた強みがそこにあります。
その優れた種を製品化して、市場の成長と共にビジネスにつなげていくための、3M(マインドとマーケティング、そしてマネジメント)が求められます。
商品を開発し市場を作るまでにはいくつもの試練があります。
一般的に言われていることですが、アイデアから試作までの「魔の川」、試作から生産までの「死の谷」そして、生産から事業化までの「ダーウィンの海」。
到底自分一人では市場を創ることはできません。
これらの試練を乗り越えるための協力者を得、自分にない能力、機能を外部から調達することができるかどうかが問われます。
ヒット商品は一部の人の閃きによって生まれるのではなく、エジソンが言うように99%の努力、換言すれば習慣によって生まれるものなのでしょう。
その努力というのが、現代の成熟したネットワーク社会においては、自分にない能力を集める努力なのかもしれません。
そしてそれを可能にする根底にはモノづくりに没頭できる、苦しいけど楽しめる気持ちを持ち続けられることではないでしょうか。
その人達が新製品を世に送り出し、顧客を創ることができるのでしょう。
「ものづくりは苦しいけど楽しい。こんなに楽しいことを何故、多くの経営者はもっとやろうとしないのか。」・・・伝統工芸の技から新技術に果敢にチャレンジし新たな市場を創っている、ある経営者の言葉です。
経営者の評価というのは、その会社から生み出されたモノによって語られるものなのでしょう。
以下、私が関わらせて頂き、あるいは取材させて頂いた方々で、モノづくりの成功をおさめた、もしくはおさめつつある人々の言葉です。
「愛情を持って開発された商品しか売れない」
「その土地、風土、歴史、文化に感謝してモノをつくらなければ、この土地で作る意味がない」
「産地を支えてくれた先人・地域の人々に報いたい」
「自分が一番のユーザーになることで、ユーザーの先頭に立てる」
以下、成功するためのモノづくりのポイントとして講演の中で挙げさせて頂いた13項目を列記します。
①ユーザーの明らかな要望に向き合う⇒応える、響きあう
②「こんなの、あったらいい」⇒技術とデザインで究める
③周囲の「知恵」「時間」を集める⇒ご縁、知脈、人脈をたぐりよせる
④デザイン、感性で手を抜かない⇒デザインこそ、アウトソース・コラボする
⑤使用感、イメージの伝わるモノづくり⇒感性の価値が価格に反映する
⑥産地が育んだ伝統の技・風土を活かす⇒そこでしか、作れないモノづくり
⑦「Made in 地元」にこだわる⇒産地のネットワークを活かす
⑧製品のコンセプトが明確⇒誰に、何を・・・マーケットにダイレクトに届く
⑨話題をつくる、話題に上げる⇒アワード(各賞)、支援事業にエントリーし発信
⑩産学官連携の模索⇒モノづくり、イノベーションは国家の一大事
⑪専門家を活用⇒豊富な事例、知財、行政支援、技術向上の窓口、オーソライズ
⑫とにかく、まずは、アイデアを具体的に⇒人に話す、書く、試してみる
⑬あきらめない、最後まで
地域の人達がモノづくりを楽しめる、交流できる場が増えるといいと思いますし、そういう活動も広げていきたいです。
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