マネジメンターのコミュニケーションの力
昨日、若手社員向けに「ホワイトカラーの生産性向上をコミュニケーションの観点から高める」というテーマで講座をしました。
若手社員といえば、日常の業務は大体覚え、これから幹部社員として部下を育成したり、組織を活性化したりしていかなければならない立場になってきます。
管理職(当社ではこれを、マネジメンターと呼んでいます)になれば、コミュニケーションのスキルが求められる場面によく出くわすものです。
コミュニケーションといえば、報告・連絡・相談といった、いわば業務的なことと捕らえられたり、飲み会などのノミュニケーションをしたりすることを連想される方もいます。
しかし、それだけでは十分でありません。
良好なコミュニケーションの出発点は、まずは相手の気持ちを考え、会話などに肯定的な気持ちを持つということが必要不可欠です。
肯定とは、相手の考えを尊重するこころ、発言の肯定的な面を捉える情緒的な力です。
例えば、人間関係を築くのが上手く、部下を育てるのが得意な人は、何度も相手を誉め、相手の考えを尊重し、感心したりします。
「それは良い考えね」「なるほど!」「へえ~」「そうなんだ!」「興味深いな~」「もっと教えて」「すごいね」「勉強しているんだね」といった、相手がもっと話したくなる言葉がたくさんでます。
しかもこれは決して演技ではなく、こころからそう思っている事が重要です。
相手に対して受容し、共感の意を表情豊かに言葉で繰り返します。
逆に良好なコミュニケーションが上手くできない人、部下が育たない人は、否定的な面が強い傾向があったり、批判屋であったりすることが多々見受けられます。
相手が意見を言った時に、すぐさま否定的な見解や批判的になって、または批評し反論します。相手の悪いところばかりに目を向けます。
「それ違うよ」「全然ダメ」「それで上手くいくと思うの?」「本当はどうなの」「それがどうしたの」「「たいした問題じゃない」「そんな考え甘い」「ちゃんと考えてる?」
このような言葉では話すどころか、やる気までなくなってしまいますし、自信もなくしてしまいます。
もちろん、時と場合によっては、否定的見解、批判、批評が是認されるときもあります。
例えば会社での会議などは、否定、批判、批評が是認されるコンセンサスが出来上がっているので、どんどんお互いの意見をぶつけ合うと良いと言えます。ぶつかり合うことで見えてくることもありますし、アイディアが生まれる時もあります。
しかし、このこころを全ての生活環境において会社の中や、プライベートでも継続し続けると大きな損失になりかねません。
あくまでもコミュニケーションの基礎は、相手を思いやったり、尊重したり、関心を持ったり、興味を持ったり、感謝するといった肯定的な情緒的な能力がベースになります。
人に対して肯定するこころが無ければ、人間関係を築くことはできないのではないでしょうか。
そしてそれは自分のためにはならないのです。会社での上下関係や、家庭においても、感謝の気持ちや、素直さ、謙虚さ、肯定的なこころを自ら忘れずに常に意識していくことは、よりよく生きていくための基本的な心がけではないかと思います。
私たちは講座をさせていただく時は必ず、身近な人(相手)の良い所を探す訓練をします。
肯定するこころ、情緒能力を高める訓練です。
良い所を見つけても口にださないのでは何もならないので、実際に言葉に出して相手に伝えます。
「頼りになる存在」「とてもチャーミングで笑顔が素敵」「熱心で優しい」「清潔感があって好感が持てる」「キレイ好きでさわやか」「しっかりしている」「プラス思考で明るい」「字がきれいで読みやすい」「いつもありがとう」・・・一人に対して10個は良い所を伝えます。
それだけで笑顔になったり、ウキウキした気持ちになったり、やる気さえ出てきます。
まずは身近な訓練として、周りにいる人の良い所を探す訓練をしてもらいます。
また雑談の中で、「相手の事を誉めているか?」「相手の考えを尊重しているか?」「批判ばかり言っていないか?」これらを注意して一日一日振り返ることもお伝えしています。
肯定するこころ、すなわち情緒的な能力が育てば育つほど、良好なコミュニケーションも向上していきます。
人間関係が良くなるだけではなく、会社全体で取り組めば、組織風土もガラリと変わる瞬間です。
このように相手に対する、肯定的でプラスのやりとり、=ストロークの能力は、管理者として必要不可欠な「情緒的」能力ではないでしょうか。
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