年末年始に読んだ本 その3
明治以降興った宗教で、現存する代表的な新宗教について書かれた本。著者は、実地で調べた結果をもとに、新宗教の成り立ちや混迷、弾圧、分裂の歴史、そして新宗教の課題等についてまとめている。
神のメッセージの信憑性をいかにリアリティをもって信者に伝えつづけることができるかということに、多くの新宗教は苦心している様が伺える。
また、生老病死や貧困、争いといった生命的、社会的課題を抱えた人を、如何に救うか、という手法(=宗教のサービス)をどのように維持していくかその苦闘の歴史も垣間見える。
人の心を扱うビジネスの参考書として、組織論の参考書として、また政治と宗教の関わりについて、興味を掻き立てられながら読むことができた。
新宗教の多くは人そのものが神の代理者であり、奇跡や天啓、予言がつき物であること。ただし、その人(教祖)は、その多くが完全ではない。(病気が治らなかったり、教祖の予言が外れたり)
その奇跡や天啓を感じられなくなったり、予言が外れたりすることによって、信者は簡単に去っていく危うさも孕む。
面白いことに、この本の中に、「(現代において)信者が増えるのは不景気なときではなく、好景気な時である」と書いてあった。好景気な時ほど、不安が募る。不景気になると、何も信じなくなる(信じたくない)から、らしい。これも人間の本質的なこと、つまり強くて弱い、弱くて強いということが垣間見られてなるほど、と思った。
宗教は信者がいて、初めて成り立つ。
信者とは文字通り「信ずる」者。
信ずるとは、不確定なことに確信をもつ(あるいは持とうと期待を寄せる)こと。
(但し、信ずると念ずるは違う)
孫子は、戦いをするものは、迷信や祈祷や神仏を頼ってはいけないと言っている。これと同じようなことは宮本武蔵の五輪書にも書いてあった。
経営においても同じであろう。
最近、固定客からファン客づくり、さらに、信者づくりと叫ばれているが、そもそも、固定客なんていない、ましてや信者なんて簡単に作れない。という危機感を持って経営にあたった方がよいのではないか。
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