新人の品格
桜が満開になるこの時期。
皆、必ず弁当袋を提げている。
学生時代のころの弁当と、社会人になって食べる弁当の味はひと味もふた味違うことだろう。
毎年、新入社員研修の依頼をいただく。有難い。
ある企業の新入社員十数名を対象とした研修を2日間行なった。
企業にとって、苦労して募集選考した未来の人材。こちらも身が引き締まる。
マナーから仕事の進め方、時間管理、報連相、仕事を行う上でしっかりと
身につけておかなければならない基本が中心。
マナーでは、挨拶、笑顔と第一印象、お礼の角度、名刺交換、
電話応対、椅子の立ち方、座り方、ドアの開閉の仕方に至まで、
日常のビジネスシーンを想定し、ボイストレーニングも交えながら
繰り返し繰り返し実践してもらった。
ドアの開閉をするにもマナーがあることに新入社員の皆さんは驚かれていた。
日常生活では全く意識せずにドアを開け閉めしていた学生時代の習慣は
体で覚えてもらうしか身につく方法はない。ついノブ以外のところを触ってしまったり、
頭で考え過ぎてドアに挟まってしまって、つい笑いが巻き起こったり。
新入社員の皆さんは、新鮮な驚きに目を丸くしながらも、
未来の自分に希望を膨らませ、キラキラ輝いていた。
緊張の中にも楽しい2日間ではなかったかと思う。
マナーの習得について勘違いする人が多い。
マナーの「作法」や「型」はあくまでも基本。
それが絶対であるかのように思われてしまう。
決してこれという決まりがないのもマナーの味わいのあるところ。
本来のマナーはその時の状況によって、判断し行動するもの。
それを行なうのは自分次第だ。相手を思いやった行動ができるかどうか、
それが美しいかどうかが全て。
そのためには、「気づく」ことができる能力を身に付けることが大事。
最近、「品格」という言葉をよく耳にする。書店でも目を引く。
女性の品格、国家の品格、男の品格、人間の品格、親の品格・・・。
このようないわゆる「品格本」が売れているのは、この国の人の品格が近年、
改めて求められつつあるということの裏返しでもあろう。
品格のある人というイメージは、近寄りがたい、堅苦しい、ツンとしている、
といったものが付きまとうかもしれない。
しかし、品格のある人とは『感じがいい人』ということになるのだろう。
感じがいい人とは、挨拶がいい、いつも笑顔で明るい、
時間や約束を守る、清潔、プラス思考、親切、気が利くといったイメージになる。
このようなことは当たり前のことであるといわれそうだが、
人というのは慣れてきてしまうとこの当たり前なことから手を抜いていくものである。
「初心忘るべからず」
入社した時の気持ちを、いつまでも大切して欲しいとこころからそう思う。
企業の発展は、そこで働く人々の品格が左右するのではないだろうか。
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