年末年始に読んだ本 その2
「孫子」町田三郎訳 中公文庫
久しぶりに読み返す機会があった。
戦(いくさ)に勝つための兵法書
いまから2500年前に書かれた春秋時代の兵法家の大家、孫子。
20代前半の若さで呉の国の軍事コンサルタントとして、王に取り入り、実績を上げることで戦術論をより強固普遍的なものに纏め上げた。
①敵を知り、己をしれば、百戦危うからず
(⇒自企業の力量や情勢と競合の力量や情勢の差を十分に見極めて市場獲得に臨め)
②戦いというのは、国家の一大事であり、最優先するべきものであるから、よくよく熟慮して臨むべし
(⇒経営の中でも市場を獲得=顧客の創造するということは、最も優先すべきことである)
③したがって勝算のない戦いは絶対にすべきではない
(⇒えい、やー!で会社を興してはならない、成功する確信が100%がなければ経営してはならない)
④大儀だけで戦ってはならぬ
(⇒いくら立派な理念を掲げても、戦える力や戦術がなければ、ダメだ)
⑤部下の性格・能力を見極めて登用、動機付けせよ。これに失敗すると国が滅ぶ
(⇒任せる部下や後継者の性格・能力を見誤ると、事業の継続はおぼつかない)
⑥地形、地の利をよくよく考えよ
(⇒立地によって、市場獲得の方法が違う)
⑦人の能力には期待してはならない。それより、軍全体の勢いが大事
(⇒個人の能力に期待すると必ず期待倒れになる。組織全体の勢いを如何に上げていくか、つまり全員経営、全員営業のムードづくりをせよ)
などなど、上げだしたらキリがない。
数ある戦術論の中でも、飛びぬけて具体性のあるもの。
戦争をもとにしたクラウセヴィッツの戦略論も昔読んだが、それよりも今の時代は孫子の方がより応用性が高いと思った。
ランチェスターの戦略論により近い。ひょっとしたら、ランチェスターの戦略論はこの孫子がベースにあるのかも知れないと感じた。
宮本武蔵の五輪書も孫子に近い考え。これもひょっとしたら孫子がベースになっているのかもしれない。
この本の中に込められているエッセンスは経営にも大いに役立つものが多く、2500年前に書かれた書物が、現在も読み次がれているのにはそれなりの理由があると思った。
偉大な本だ。 経営者はよくよく読みこなす必要があると改めて感じた。
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