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2009年2月 4日 (水)

選択と集中

事業の選択と集中に関して、改革推進メンバーとディスカッション。Photo
講座・研修形式で始まったプログラムであったが、具体的課題をテーマにしたディスカッションに進展していく。
改革推進メンバーは現場感覚に富む実務者であるがゆえの展開。
強い危機感を感じているだけにモチベーションも強い。

改革プロジェクト計画案をつくるのがこのプログラムの目的だけに、「如何に推進するか」が大きな課題となる。
調査と仮説により改革の糸口が見つかっても、実際に推進していこうとなると、大きな壁が立ちはだかることが想定される。
壁の主因は組織のコンフリクト(葛藤)である。
この壁は組織が大きければ大きいほど比例して厚くなるものだ。

組織のコンフリクトの壁を打ち破れるかどうかはひとえにトップの意志力、リーダーシップにかかっている。

意志力やリーダーシップを発揮するための基本となるトップの能力は次の2つである。

1番目は「抽象化力」である。

事業改革、組織改革を前にして求められる抽象化力とは、例えば次のような問いに答えられるチカラだ。
「30年後も、(あるいは100年後も)正しい決断だといえるものであるか?」
未来のことは分からない。明日さえも分からないものであるが、この観点がなければ事業改革などできる相談ではない。

2番目に求められる力は、「プライオリタイズ力」である。


すなわち、プライオリティ(優先順位)をつける力である。
私はこの話をする時に、ヤマト運輸の故小倉会長の例をよく引き合いに出す。

宅急便事業を始める前の一般の運送事業時代、高度経済成長に支えられたが、一方で競争も過激化した。
経営状況は逼迫していた。
荷主は低価格と高効率つまりスピードを求めてくる。その結果、事故が多く発生し、経営状況の悪化に拍車をかける。
営業数字から見ると、効率の向上は第一の優先課題であったため、当時はこんなスローガンを掲げていた。
「安全第一、営業第一」
これは、二律背反するテーマである。両方求めたら両方無くす。
悩んだ小倉会長が取引先の銀行の勧めで、とある工場を見学に行ったとき、自分たちが如何に馬鹿げたスローガンを掲げていたか、に気がついた。
トップがこのような矛盾した優先順位のつけ方をしているようでは、会社は良くなるはずがないと。すぐさまスローガンを次のように変えた。
「安全第一、営業第二」
これを掲げ直し、安全対策に本腰を入れた。
その甲斐あって、安全性が高まり、事故はなくなった。
しかしそれだけではなかった。
結果として営業効率も高まり、新たな事業展開である宅急便につなげることができた。

「抽象化力」と「プライオリタイズ力」この2つのチカラをトップが発揮することができれば、あるいは改革推進メンバーがそれをサポートすることができれば、ネゴシエーション力とプレゼンテーション力は自然とついてくるものだ。

事業改革の推進の肝、言い換えるならば、ボウリングでいうセンターピンを外さないようにしたい。

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