コンセプトと言葉
商品(製品)コンセプト、サービスコンセプト、ショップ(ストア)コンセプト、デザインコンセプト、戦略コンセプト、マネジメントコンセプト、人事コンセプト、コミュニケーションコンセプト、ファミリーコンセプトなどなど、「コンセプト」という言葉は、様々なものにくっつく。いちど身の回りのものや思い浮かぶ言葉に「コンセプト」をくっつけてみるとよい。
コンセプトは、根本的な考え方や理念という意味があるから、「人が行なう」全ての活動や産品、産物等にくっつけても、なんとなく意味が通る。
大事なのは、それをどう設定し、さらにはどう活用するかである。
まずは設定方法であるが、顧客のニーズや時代の流れ、そして自組織の強みを十分考慮しなければならない。
つぎに、活用方法であるが、これにおいては工夫が求められる。
その理由は、コンセプトというのは考え方や理念であるから、当然言葉で表わされる場合がほとんどである。
そのため、人によって、その言葉の捉え方において微妙にニュアンスが違ってくる、いわゆる誤謬が生まれる可能性を想定しなければならない。だから工夫が求められるわけである。
例えば、うちの店のコンセプトは「ゆったりとくつろげる空間と時間の提供」であるとした場合、その「ゆったりとくつろげる」ということはどういうことなのか?・・・その捉え方がサービスを提供する人によって微妙に違うということになる。当然それを受ける人々も対応される店員によって受け止め方が違って来て、統一感がなくなる。
お客が人につく、というのはそういう理由からであるが、お客を店につけるという状態にするには、このコンセプトの統一が図られなければならない。
そのためには、「コンセプトを具体化する」というプロセスが事業刷新の初期段階において必要になる。
この例でいうと、「ゆったりとくつろげる」とお客様が感じていただくためには、「店員のどのような言動や店のしつらえが常に求められるか」言い換えると「店員のどのような言動によって『ゆったりとくつろげる』感覚を顧客が味わうことになるのか」ということを、実例を通して共有化されなければならない。具体的には例えば「微笑みを絶やさない」ことが、「ゆったりとくつろげる」感覚に直結すると設定するわけだ。
これを、単に「とにかくサービス業なんだから、笑顔は当たり前」と教えるだけでは、その本来的意味づけが希薄になり、続かなくなるという結果に陥る。仕事に対する誇りも薄れる。
このように、コンセプトと言動というのは、一直線上に位置しなければならない。
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