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2009年12月12日 (土)

一人楽しめる歌

幕末の福井が生んだ偉大な歌人、橘曙覧の独楽吟(どくらくぎん=ひとりたのしめるうた)。
「たのしみは~」ではじまり、「~とき」でおわる形をとる5-7-5-7-7の短歌。

正岡子規など明治時代の文学者に賞賛され、影響を与えたといわれている。

日常の暮らしの中で感じた、ちょっとした喜びや楽しみといったことをを、素直に歌に詠む。

平成6年にクリントン大統領が両陛下の訪米歓迎式典で橘曙覧の詠んだ独楽吟「たのしみは 朝起き出でて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見るとき」を引用し、日米両国の関係発展を育む思いを伝えた。

このことで一躍有名になり、福井市立橘曙覧記念文学館が平成12年4月に建設されたり、「平成独楽吟」の応募、表彰事業を行ったりして、盛り上がりを見せている。

橘曙覧は生粋の福井人であり、57歳まで、そのほとんどの生涯を福井で過ごした。

生涯に詠んだ独楽吟52首は今も残る福井人の粘り強く、質素な感性を表現していると思える。

厳しい世相、慌しい年末であるが、今のほんの一瞬、半径たった1間(約1.8メートル)の幸せを歌にする心の余裕を持ち合わせたい。

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